有機肥料は安全で化成肥料は危険なのか?

よく有機肥料=安心なんて言われがちだけれど、無農薬栽培と混同している場合が多いと思う。美味しいとか、栄養豊富、というなら異論はないけど。

有機肥料は施肥後微生物に分解されて無機化してから吸収されるわけで、結果としては化成肥料と同じだ。工場で窒素・リン酸・カリウムを合成または鉱物から抽出して作る化成肥料に対し、有機肥料は牛のフンだったり菜種などの油の搾りかすだったり、魚の骨だったりを発酵させたり焼却したもの。JISで決まっているとはいえ、本当にその糞をした牛は安全な餌を食べていたのか、その腐葉土の元の落ち葉は清潔だったのか、そういうリスクも考えたい。

有機のメリットは3大栄養素以外のモロモロが含まれるため、美味しかったり綺麗に花が咲いたりするし土地が痩せないということだと思っている。化成肥料で窒素リン酸カリウムだけ施肥してもいつかは収穫量が落ち、痩せた土地はなかなか蘇らない。が、それは管理の問題で化成肥料が悪いわけではないだろう。ライフスタイルとしてオーガニックを追求することや、差別化として完全有機、無農薬栽培を行うことは素晴らしいことだ。特に日本で高付加価値の野菜を販売したいというならなおさらだ。

だけど世界には食糧難にあえいでいる国がある。そういうところでも化成肥料は悪なのか?遺伝子組み換え作物も同じだ。遺伝子組み換え作物を「食べた」場合の危険性ってあまり議論されていない。いつも聞くのは、
「特定の企業から永遠に種を買い続けるハメになる」
とか
「農薬に強い品種を作った結果、たっぷり農薬を使って残留している」
とかだ。それは企業倫理の話だ。技術の話ではない。化成肥料を使おうとも、農薬を使おうとも、遺伝子を組み替えようとも、その食料がないと生きていけない人がいる。その問題と、企業倫理の問題は別だ。遺伝子組み換えを批判する前にF1種を批判するべきではないか?農薬が体に悪いのなら農薬ではなく使った人間を批判するべきではないか?

性悪説で「どうせ○○になるから・・・」とさじを投げて、莫大な可能性を捨てるのはもう止めた方がいい。

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