昨年の総選挙は一票の格差によって違憲状態、選挙は無効である、といった判決がいろんな裁判所で出ているようだ。一票の格差によって法の下の平等に反する、ということと選挙が無効である、ということは別のような気がするのだけれど、それ以前に憲法って何?というレベルでも報道してほしいものだ。
ところで先日、TBSラジオのDig(残念ながらこの3月で終了)でジャーナリストの青木理氏や弁護士の伊藤真氏が憲法について解説していた。解釈にもよるのだろうけれど、一番印象的だったのは、「憲法は日本国民はどうあるべきか、を冷静な状態で事前にまとめたもの」という考え方。宗教法人の事件だとかとんでもない天災だとか、ああいったことが起こった時に我々はまともな判断ができないだろう。本気で死刑にしてしまえ、だとか、電力会社の社員が命を捨ててでも事故処理しろだとか、本気でいう人がいたでしょう。そういう時のために、平和で冷静でいられる段階でルールを決めておくのだ、と。ものすごく納得。iTunesで聞けるので是非。3月21日(木)「憲法とは何か」。
ところで以前も書いたけれど日本国憲法の前文、なんと美しいことか。憲法改正の論議が盛んだけれど、そんなことしなくても我々は何をすべきか、しっかり書かれていると思うんだけど。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。